
この章の目的
人は、誰かに「こうしたほうがいい」と言われただけでは、本当の意味で自分から動き出すことはできません。
大切なのは、
「自分は、どうしたいのか」
を、自分自身で考え、少しでも「やってみよう」と思えることです。
私たちは、子供の代わりに答えを決めるのではなく、子供自身が自分の意思で一歩を踏み出せる状態をつくることを大切にしています。
1.最初から「明確な目標」がなくてもいい
子供が最初から、自分の将来について明確な目標を持っているとは限りません。
「将来何になりたい?」
と聞かれても、
「分からない」
と答えることもあります。
それは、考えていないからとは限りません。
まだ経験していないことが多く、知らない世界も多いからです。
だから私たちは、最初から大きな目標を決めることを求めません。
まずは、
- ちょっと気になること
- やってみたいこと
- もっと知りたいこと
- 今までとは違うこと
- 「できたらいいな」と思うこと
そんな小さな思いから始めます。
2.「勇気づける」ことも、最初のサポート
子供自身が、自分の可能性を狭く考えていることもあります。
「自分には無理」
「どうせできない」
「そんなことを考えても仕方がない」
そう思っていると、自分から一歩を踏み出すことは難しくなります。
そこで必要になるのが、新しい可能性に目を向けるための「きっかけづくり」です。
これは、無理に「できる」と思わせることではありません。
「もしかしたら、やってみてもいいかもしれない」
と思えるようにすることです。
今まで自分では考えなかった方向に、少しだけ視野を広げてみる。
その小さな変化が、最初の一歩につながることがあります。
3.言葉にすることで、自分の考えが見えてくる
「なんとなくやってみたい」
最初は、それだけでも構いません。
その「なんとなく」を言葉にしてみる。
「なぜ、そう思ったのか」
「何が気になるのか」
「どうなったらいいと思うのか」
少しずつ言葉にしていくことで、自分の中にあった考えが見えてきます。
そして、
言葉にする → 考える
というプロセスが始まります。
ここから、自分自身の目的や、実現するための方法を考えることにつながっていきます。
4.「自分で選ぶ」ことが主体性につながる
考えたからといって、必ず大きな行動をする必要はありません。
大切なのは、自分で選ぶことです。
「まず調べてみる」
「誰かに聞いてみる」
「少し練習してみる」
「今日はここまでにする」
どのような選択でも構いません。
自分で考え、自分で選んだ経験が積み重なることで、
「自分で決めて、自分で動く」
という感覚が育っていきます。
5.小さな一歩だからこそ、意味がある
最初から完璧にできる必要はありません。
むしろ、実際にやってみなければ分からないことがあります。
「思っていたより難しかった」
「やってみたら、意外と面白かった」
「こっちの方法のほうが自分には合っていた」
こうした発見は、行動したからこそ得られるものです。
だから私たちは、結果だけを見るのではなく、
「自分で一歩を踏み出したこと」
そのものを大切にします。
6.一歩を踏み出した後から、本当の学びが始まる
行動すると、必ず何らかの結果が生まれます。
うまくいくこともあれば、思ったようにいかないこともあります。
そこで、
「なぜ、こうなったのだろう?」
「何がよかったのだろう?」
「次はどうしてみよう?」
と振り返ります。
すると、その経験が次の考える材料になります。
つまり、
言語化 → 考える → 選択 → 行動 → 振り返り → 改善
という成長の循環が、少しずつ動き始めます。
7.私たちは、子供を動かすのではない
私たちが目指しているのは、子供を「動かす」ことではありません。
大人が答えを決め、
「こうしなさい」
と動かすことは、短期的にはできるかもしれません。
しかし、それでは子供自身の考える力や選択する力が育つとは限りません。
私たちが支えたいのは、
子供自身が「やってみよう」と思い、自分の意思で一歩を踏み出すこと。
そのために、必要な考え方や視点を示し、問いかけ、整理し、次の一歩を考えることを支援します。
8.「一歩を踏み出せる状態」をつくる
子供の成長は、一人ひとり違います。
すぐに行動できる子もいれば、時間をかけて考える子もいます。
大切なのは、他の誰かと比べることではありません。
その子自身が、
「自分で選んだ一歩を踏み出せた」
と思えることです。
小さな一歩でも、自分で選び、実際にやってみる。
その経験が、次の考えを生み、次の選択につながります。
この章で伝えたいこと
子供の成長に必要なのは、誰かに動かしてもらうことではありません。
自分の中にある思いを言葉にし、考え、自分で選び、ほんの小さな一歩でも踏み出してみること。
私たちは、その「自分から一歩を踏み出す」ための環境とプロセスを支えます。
そして、その一歩から、次の「考える」が始まります。
この章から、次の章へ
子供自身が一歩を踏み出すことで、成長のプロセスが始まります。
しかし、その一歩を継続的な成長につなげていくためには、物事を考え、選択し、行動していくための具体的な能力も必要になります。
では、これからの時代を生きていく子供たちには、どのような能力が必要なのでしょうか。
次の第5章では、自分の未来をつくっていくために必要となる6つの能力について考えていきます。
