この章の目的

人が時間の経過とともに発展的に成長していくには、自分自身の考え方や行動、経験の積み重ねが重要です。

その成長には、一人ひとり違いがあり、明確な因果関係があります。


1.人は、必ず成長する

人は、時間とともに成長していきます。

子供から大人へ。

昨日から今日へ。

今日から明日へ。

その間に、さまざまな経験をします。

できるようになったこともあれば、失敗したこともあるでしょう。

うまくいったこともあれば、思ったようにならなかったこともあります。

そうした一つひとつの経験が、人の成長につながっています。

しかし、

人は必ず成長するからといって、自分の思い通りに成長するわけではありません。

ここが大切なところです。


2.成長には、原因と結果がある

私たちは、人の成長には因果関係があると考えています。

簡単に言えば、

原因 → 結果

です。

何かを考えた。

その考えをもとに選んだ。

選んだことを行動した。

その結果、何かが起こった。

その結果を経験して、また考えた。

この繰り返しが、次の自分をつくっていきます。

つまり、今の自分は、これまでの考え方や選択、行動、経験の積み重ねによってつくられているのです。

そして、これからの自分も、これから何を考え、何を選び、どう行動するかによって変わっていきます。


3.目に見える行動だけが、成長をつくるのではない

人の成長を考えるとき、

「何ができるようになったか」

「どんなことを経験したか」

という、目に見える部分に目が向きやすくなります。

もちろん、それも大切です。

しかし、人の成長には、目に見えない部分もあります。

それは、

何を考えたのか。

なぜそう考えたのか。

どんな可能性を想像したのか。

どんな理由で、その選択をしたのか。

といった、思考の部分です。

目に見える行動の前には、必ず何らかの考えがあります。

だからこそ、

目に見える行動だけではなく、その前にある思考も、成長をつくる重要な要素です。


4.「考え方」が変われば、選択も変わる

同じ出来事を経験しても、人によって受け止め方が違うことがあります。

「失敗した。もう無理だ」

と考える人もいれば、

「うまくいかなかった。では、何を変えればいいだろう」

と考える人もいます。

同じ経験でも、その後の考え方が違えば、次の選択も変わります。

そして、選択が変われば、行動が変わります。

行動が変われば、得られる経験も変わります。

だから私たちは、

人の成長を考えるとき、「何をしたか」だけではなく、「どう考えたか」も大切にします。


5.経験は、未来の選択肢を増やす

人は、経験したことから多くのことを学びます。

うまくいった経験。

失敗した経験。

人と話した経験。

自分で決めた経験。

何かに挑戦した経験。

その一つひとつが、自分の中に蓄積されていきます。

そして、その経験が次に何かを考えるときの材料になります。

経験が増えれば、

「こういう方法もある」

「こういう考え方もある」

「前はこうだったから、今度はこうしてみよう」

というように、考えるための材料が増えていきます。

つまり、

経験することは、未来の選択肢を増やすことにもつながります。

特に子供の時期には、さまざまな経験をすることが大切だと私たちは考えています。


6.成長は、一人ひとり違う

同じ年齢だからといって、同じように成長するわけではありません。

興味を持つことも違います。

経験してきたことも違います。

考え方も違います。

得意なことも、苦手なことも違います。

だからこそ、

成長には、一人ひとり違う道があります。

私たちは、年齢だけで「この段階まで成長しているべき」と決めるのではなく、その子自身の現在を出発点として考えることを大切にします。


7.未来から現在を見る

私たちが人の成長を考えるとき、もう一つ大切にしている考え方があります。

それは、

現在だけを見て、未来を決めるのではなく、未来の可能性を考えて、現在からの進み方を考える。

ということです。

「今、何ができるか」だけではなく、

「これから、どうなりたいか」

「どんなことをしてみたいか」

「どんな自分になっていたらいいと思うか」

という未来にも目を向けます。

もちろん、未来は最初から決まっているものではありません。

考えて、選んで、行動して、経験していく中で変わっていきます。

だからこそ、未来を考えることには意味があります。

未来を考えることで、今の選択肢が変わるからです。


8.私たちが考える「成長」とは

ここまでを整理すると、私たちが考える人の成長は、

未来を考える

自分の考えを言葉にする

考える

自分で選択する

行動する

経験する

振り返る

次の考えや選択を変える

という循環の中にあります。

一度で終わるものではありません。

何度も繰り返すことで、少しずつ自分の考え方や判断が変わっていきます。

そして、その積み重ねが、その人自身の成長になっていきます。


9.私たちは「成長させる」のではない

ここは、私たちの能力開発を考えるうえで、とても重要な考え方です。

私たちは、子供をこちらの考える方向へ「成長させる」ことを目的としていません。

子供自身が考え、

自分で選び、

自分で行動し、

その経験から学び、

また次の一歩を考える。

その過程を支えることが、私たちの役割です。

だから、

主役は、子供自身です。

私たちの役割は、子供自身が考え、選び、行動し、経験から学んでいく成長の過程を支えることです。


この章から、次の章へ

人の成長には、

考え方 → 選択 → 行動 → 経験 → 振り返り

という因果関係があります。

そして、その循環を繰り返すことで、一人ひとりの思考や判断が少しずつ変わっていきます。

では、実際に人は、どのようなプロセスを通じて、その成長を積み重ねていくのでしょうか。

次の第3章では、私たちが考える「成長のプロセス」を、より具体的に整理します。