分かっていても行動を変えられないのはなぜか|第3回【テーマ01|ビジネス・マインドセット】

「今のやり方を変えた方がよい」

「もっと早く行動しなければならない」

「同じ失敗を繰り返してはいけない」

頭では分かっているのに、実際の行動を変えられないことがあります。

必要性を理解し、改善しようと考えているにもかかわらず、しばらくすると以前と同じ行動へ戻ってしまうのです。

これは、単に意志が弱いからとは限りません。

分かっていることを行動へ変えるためには、「理解する」だけでなく、自分が取るべき行動を具体的に決め、実行し、その結果を振り返るところまで進める必要があります。

「分かること」と「できること」は違う

知識を得ると、私たちは「理解できた」と感じます。

しかし、知識として理解することと、仕事の場面で実際に行動できることは同じではありません。

例えば、次のようなことは、多くの人が重要だと分かっています。

  • 優先順位を明確にする
  • 問題を先送りしない
  • 相手の話をよく聞く
  • 感情だけで判断しない
  • 失敗を振り返って改善する

それでも、忙しくなったり、想定外の問題が起きたりすると、これまで慣れてきた方法で対応してしまいます。

人は、毎回すべてを考え直して行動しているわけではありません。過去の経験から身についた考え方や行動のパターンを使っています。

そのため、新しい考え方を知っただけでは、従来の行動がすぐに変わるとは限らないのです。

行動を変える目的が明確になっているか

行動を変えようとするとき、多くの場合は「何をするか」から考えます。

しかし、その前に確認したいのは、「なぜ変える必要があるのか」という目的です。

目的が曖昧なままでは、新しい行動を始めても長続きしません。

特にビジネスでは、単に「こうなりたい」と考えるだけでなく、自分の役割や責任に照らして、「どのような状態であるべきか」を考えることが重要です。

例えば、リーダーが「部下の話をよく聞こう」と考えたとします。

それを一時的な心がけで終わらせず、

チームが必要な情報を共有し、自ら考えて行動できる状態をつくるために、相手の話を最後まで聞く

と目的を明確にすれば、行動の意味が変わります。

目的と行動が結びつくことで、何を変えるべきかが具体的になります。

抽象的な決意では行動は変わらない

「これから気をつける」

「もっと努力する」

「次は同じ失敗をしない」

このような決意だけでは、実際の場面で何をすればよいのかが明確ではありません。

行動を変えるには、決意を実行可能な単位まで具体化する必要があります。

例えば、「会議で相手の話をよく聞く」であれば、次のように変えられます。

  • 相手が話し終わるまで結論を急がない
  • 自分の意見を伝える前に、相手の要点を確認する
  • 会議の最後に、決定事項と担当者を明確にする

「何を」「いつ」「どのように行うか」が明確になると、実行したかどうかを確認できます。

行動を変える第一歩は、大きな目標を掲げることではありません。次の場面で実行できる一つの行動を決めることです。

失敗は、反省するだけでは成長につながらない

行動を変える過程では、思ったようにできないこともあります。

そのとき、「またできなかった」「自分には向いていない」と考えるだけでは、次の改善につながりません。

失敗したときに必要なのは、漠然と反省することではなく、次の三つを具体的に確認することです。

  1. 何が起きたのか
  2. なぜ起きたのか
  3. 次に何を変えるのか

例えば、重要な仕事を先送りした場合、「意志が弱かった」と結論づけるのではなく、事実を確認します。

  • 仕事の完了条件が曖昧だった
  • 作業を始める単位が大きすぎた
  • 緊急性の高い別の仕事に時間を使った
  • 着手する時刻を決めていなかった

原因が具体的になれば、次の行動も具体化できます。

「明日は頑張る」ではなく、「午前9時から最初の30分だけ着手する」と決められるのです。

行動の変化は、小さな実践と検証から始まる

行動を変えるために、最初から大きく変わろうとする必要はありません。

重要なのは、実行できる行動を一つ決め、結果を確認し、必要に応じて修正することです。

そのためには、次のサイクルを繰り返します。

  1. 変える目的を明確にする
  2. 次に取る行動を一つ決める
  3. 実際の仕事で試す
  4. 起きた事実を振り返る
  5. 次の行動を修正する

一度で完全に変えようとするのではなく、実践と検証を重ねます。

この積み重ねによって、頭で分かっていたことが、実際に使える能力へ変わっていきます。

まとめ

分かっていても行動を変えられないのは、知識が不足しているからとは限りません。

行動を変える目的が曖昧であったり、具体的な行動が決まっていなかったり、実行後の振り返りが行われていなかったりすることが原因になります。

理解したことを能力へ変えるために必要なのは、次の行動を具体的に決め、実行し、その結果から学ぶことです。

大きな変化を目指す前に、まず一つだけ、次の仕事で変える行動を決めてみてください。

実践ワーク

現在、「分かっているのに変えられていない」と感じる行動を一つ選び、次の項目を書き出してください。

  1. どの行動を変えたいですか
  2. なぜ、その行動を変える必要がありますか
  3. 本来、どのような状態であるべきですか
  4. 次の機会に、具体的に何を行いますか
  5. 実行後、どの事実を確認しますか

考えるだけで終わらせず、実行する日時や場面まで決めることが、行動を変える最初の一歩になります。

関連ページ

テーマ01の学習記事

  1. なぜ仕事にはビジネス・マインドセットが必要なのか
  2. 個人の考え方と仕事の判断基準はどう違うのか
  3. 分かっていても行動を変えられないのはなぜか

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