第2回 投資・成果向上 マインドセット ― 遂行能力を支える投資ルールの考え方
投資では、知識や分析力だけで成果が決まるわけではありません。
同じ投資手法を実践していても、結果に差が生まれる大きな要因の一つが「感情」と「ルールとの向き合い方」です。
本コラムでは、相場に振り回されないための感情コントロール力と、投資ルールを見直す際の考え方について解説します。
本コラムでは、次の2つの考え方を重要なキーワードとしています。
目的志向とは、自分が投資で何を目指すのかという目的を常に意識し、その目的を判断基準とする考え方です。
遂行能力とは、感情や周囲の情報に左右されず、自分で決めた投資ルールや行動を継続して実践する力を指します。
この2つが揃うことで、相場環境が変化しても冷静な投資判断につながります。
☆ 投資を行う上で「心のピント」を整える(目的志向をまもる心)
投資で成果を上げるためには、次の2つが重要です。
- 感情コントロール力
- ルール設定の見直し
1.感情コントロール力
心の状態の「ピント」を合わせられるか?
自分自身の目的を明確に意識していても、日々の相場変動や周囲の情報によって、不安や心配などの感情が自然と湧いてくることがあります。
このようなときは、相場や周囲の情報に「心のピント」が合ってしまっている状態です。その結果、マイナスの感情に引っ張られやすくなります。
しかし、大切なのは、自分が「何に焦点を合わせるか」です。
同じ相場という一つの事象であっても、見方や感じ方、その意味づけは、焦点をどこに置くかによって大きく変わります。
つまり、問題なのは相場そのものではなく、周囲の情報や不安に焦点を合わせてしまっている心の状態なのです。
本来は、自分自身で決めた「目的志向」と「遂行能力」にピントを合わせ続けることが重要です。
感情コントロールは、程度の差こそあれ、誰もが抱える課題です。
また、投資に対する姿勢や感情の起伏が大きい人ほど、目的に対する意志力が十分に働いていないケースも見受けられます。
意志力とは、目的達成のために「目的志向」と「遂行能力」を維持し続ける、自発的な思考力のことです。
マイナス感情を断ち切るテクニック
固定観念ではなく、「望ましい思考や行動」を繰り返し潜在意識へ定着させることで、意志力を高めていきます。
【具体的な方法】
① リラックスする
毎晩、就寝前に目を閉じ、ゆっくり深呼吸を数回行い、心身をリラックスさせます。
② マイナス感情をイメージする
相場変動や周囲の情報によって生じる不安や恐れを思い浮かべます。
そのうえで、「投資で失敗したとき、自分にとって最大の苦痛とは何か」を具体的にイメージしてください。
映像として思い描くと、より効果的です。
③ 成功した未来をイメージする
続いて、自分の「目的志向」と「遂行能力」を思い浮かべます。
そして、「目的を達成したときの最大の喜び」を具体的にイメージしてください。
こちらも映像として思い描くことで、より高い効果が期待できます。
④ 継続する
これを1か月ほど継続すると、以前より意志力が高まったと感じられるでしょう。
この方法は、ビジネス分野でも活用されている能力開発の考え方の一つです。
慣れてきたらテーマを変えながら実践することで、さらに意志力を高めることができます。
その結果として、感情コントロール力の向上も実感できるでしょう。
なお、頑固さや思い込み、強い先入観がある場合は、根本的なマインドセットの見直しも必要になるかもしれません。
①〜③は合計数分程度で十分です。
長時間行えば効果が高まるというものではありません。
大切なのは、イメージを鮮明に描きながら、毎日継続して取り組むことです。
2.ルール設定の見直し
投資では、暴落や想定外の出来事が起こること自体を、あらかじめルールの中で想定しておく必要があります。
そのため、一時的な相場変動が起きたからといって、その都度ルールを変更するものではありません。
投資ルールの基本原則は、「市場に対する価値観は人それぞれ異なる」ということです。
もちろん、他人の知識やノウハウを参考にしながら、自分なりに研究し、納得したうえで取り入れることはあります。
その場合でも、自分自身の価値観として消化し、ルールとして確立できていれば問題ありません。
また、人の価値観は経験や成長とともに変化するものです。
そのため、ルールを更新すること自体は決して悪いことではありません。
では、ルールを変更すべきタイミングとは、どのような場合でしょうか。
それは、投資結果を冷静に検証・分析し、改善点が明確になったときです。
一方で、突発的な相場変動や周囲の情勢・情報だけを理由に、すぐルールを変更するべきではありません。
他人の物差しで目先の情報に振り回されることは、自分の投資軸を失い、結果として失敗につながる可能性があります。
このような状況では、前述した「具体的な方法」の②を実践し、自分の感情を客観的に見つめ直すことをおすすめします。
まとめ
投資では、相場そのものをコントロールすることはできません。
しかし、自分の「心のピント」と「投資ルール」は自ら整えることができます。
相場の変動や周囲の情報に振り回されるのではなく、自分自身の目的志向と遂行能力に意識を向け続けることが、感情に左右されない投資につながります。
また、ルールの見直しは、一時的な相場変動ではなく、冷静な検証と分析に基づいて行うことが重要です。
投資で継続的な成果を目指すためには、「感情をコントロールする力」と「ルールを守り育てる力」の両方を磨き続けることが大切ではないでしょうか。

